なぜおもりの校正を行う必要があるのか

“おもり”と言えば、みなさん分銅をイメージされるのではないでしょうか。その分銅とは重さを測るための道具ですよね。では、この分銅、本当に正しい重さなのでしょうか。みなさんは分銅自体を計測したことはありますか。分銅は長いこと使っていれば手あかや皮脂が付いたり、磨耗で削れてしまったりすることがあります。そのため、ある程度の期間使い続けたものである場合、分銅そのものの重さが変わってしまうことがあるのです。これでは、分銅自体に信憑性が無くなるため、正確な重さを測れているとは言えなくなります。しっかりとした数値を読み取るには重さに狂いのない分銅を使わなければ意味がないですよね。そこで、校正という操作が必要になります。校正とは、目盛りの補正をすることで、これを行うことにより計器類の精度を正すことができるのです。

おもりの校正はJCSSによるトレーサビリティ制度

「校正」とは聞きなじみのない言葉ではないでしょうか。校正は英語でキャリブレーションと言います。仕事や自宅などでパソコンや印刷機を使っているとき、「ソフトウエアキャリブレーション」や「カラーキャリブレーション」というワードを目にしたことはありませんか。校正とはもともと印刷物における原稿との比較で行われているもので、印刷や写真植字の段階で原稿と照らし合わせて、色の調子や誤植、伏字や体裁の不備などを点検して改善することを指します。おもりなどの校正の場合、独自の基準で計測しても意味がなく、国家や国際レベルで規定されている標準によって校正を行わなければなりません。それがJCSSによるトレーサビリティ制度になります。今から約25年前の平成5年、改正計量法により国家計量標準供給制度と事業者登録制度の2つから設けられた校正方法として導入されました。

国際的に通用する正しいおもりの校正方法

先ほどは、校正を行うJCSS制度は、2つの制度からなるトレーサビリティ制度を適用しなければならないということをお話ししました。こちらではこの2つの制度について解説します。まずは国家計量標準供給制度です。こちらは、基準となるおもりが世界でも通用するものを使うことを指しています。正しいと規定された標準によって校正される必要があり、この計量法で定めた国家標準器まで追跡できることが特徴です。国家標準器とは、国際的に認められた標準器と比較されて作られています。そして2つ目が校正事業者登録制度です。これに登録されている事業者は、国際的に通用する校正の知識があり、世界基準に基づく校正を実施できることを意味しています。技能が確実であることを認定された事業者なので、こういった事業者に国家標準器と比較をしてもらえれば確実な校正を行うことが容易になるのです。